ロッテマートの閉店まであと15分。僕はあわてていろいろ物色する。かんじんなことに、一番迷惑をかける同じ課の人たちにチョコパイだけはまずいだろ、と思い至ったからだ。かといって時間がない。すでにチョコパイは買ったのだから何か食べ物ではないほうがいい。
結局時間との戦いの中、歯磨き粉を余計に買うことにする。2年前に韓国で買った、お茶の歯磨き粉が結構スッキリした味で個人的に気にいったので、それを人数分。全員同じものではつまらないから、違うものも。それとチョコパイをもうひと箱。自宅用に。ご近所用に買うべきであったが、そこは失念してしまった。
急ぎ足で地下鉄の駅に向かう。終電を逃すと東大門まで歩くかタクシーを使わなくてはならない。余裕で間に合う。地下鉄の表示には漢字とローマ字の表記があるから、方向を間違えることはない。但しローマ字は読み方が違うので注意。たとえばTONDEMONなどと表記はされていないのだ。
ちょっと地下鉄に揺られ、DONGDAEMUN(東大門)に着く。この街はこの時間でもにぎやかだ。地下道では靴屋が店を開き、船場センタービルみたいな中に入れば服屋、帽子屋など、繊維関係の店があきれるほど営業している。街のランドマーク風の大きなファッションビルは大きな音で音楽をたれ流しながら、まるで渋谷の夜7時くらいの雰囲気で営業している。人通りこそ少ないものの、それでも買い物客らしき人がブラブラ歩いている。もう時計は1時を回っているというのに、だ。しかも日曜日の夜だというのに。

かくいう僕もそんな店のいくつかを冷やかしながら歩く。会社で使えるような珈琲タンブラーで、ハングル文字がぎっしり書きこんであるようなデザインのものがないか探してみたが、その手の雑貨店が見つからなかった。僕が知らないだけだろうと思うが、日本には星の数ほどある雑貨店的な店があまり見つけられなかった。
勇気をふりしぼって屋台に突入しようと思うが、昨日COZZLE氏が言った言葉を思い出す。東大門のタクシーは日本人だとふっかける、という話だった。きっとこのあたりの屋台は日本人だと「ぼる」に決まっている、と思い、急に入る気が失せる。ポジャンマチャと呼ばれる、座っておでんとかを食べる屋台に行こうと思ったが、やたら客引きしてるし、日本語で話しかけるのも嫌な感じがして、結局やめておく。
それでもどうみてもおでんや串ものが美味しそうだったので、持ち帰り専門の、値段が出ている屋台に寄り、おでんを2串と、無料のスープ、もちとウインナー串、メクチューを買って、どこかのビルの前の広場で立ったまま食べる。ジャンクな味わいだが、これで充分だと思った。
おでんを食べるたび、自分の口からゴジラが吐くような白いビームが発射されるのが自分でもおかしくて、ひとりでにやけていた。午前2時の東大門でおでん串を持ちながら、白いビームを出し、笑っているイルボンを見た韓国の皆さん、それは私です。

その日はさすがにぐっすり眠れ、とはいっても午前5時すぎには起床し、2年前さんざん悩まされたロッテリアで新商品の何とかバーガー(結構おいしかった)を買い、地下鉄に乗り、一路空港へ向かう。
やがて2011年1月17日の朝が開け、空港のロビーにも朝陽が降り注いだ。今頃COZZLE家では朝食でも食べているのだろうか。自宅ではこどもが学校に行き、女房は洗濯機を回していて、テレビではみのもんたがしてやったりという顔で笑っていることだろう。
そんなことを思いながらひと眠りして、気がついた時にはもう日本の上空で、綺麗な富士山がすぐ間近に見えた。
消費したW
おでん、メクチュー、もちとウインナー串、ロッテリアのバーガーなど
3日間の合計は、日本円で約3600円程度しか、使いませんでした。












